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【智恩寺(文殊堂)《臨済宗妙心寺派》0772-22-2553

寺伝によれば、808(大同3)の平城天皇の勅願寺として創建されたという。延喜年間(10世紀初頭)には、醍醐天皇から勅額を下賜されたというが、以後、中世までの歴史は判然としない。当初は密教(真言宗)の寺院で、禅宗寺院になるのは南北朝時代以降。古くから文殊信仰の霊場として知られ、謡曲「九世戸(くせのと)」の題材となっている。現存する多宝塔は室町時代のものだが、本堂、山門、方丈等はいずれも近世以降のものである。山号は天橋山または五台山。切戸(きりど)の文殊、九世戸(くせと)の文殊、知恵の文殊とも呼ばれる。奈良県桜井市の安倍文殊院、山形県高畠町の亀岡文殊とともに日本三文殊のひとつとされる。本尊の文殊菩薩は秘仏とされる。正月三が日、110日、724日の年5日の開帳がある。

山門 多宝塔 本堂
鐘楼門 おみくじ ちえの輪

■山門[市指定] 1767(明和4)の上棟。棟梁は宮津の名工冨田庄次郎、大工は延べ8780人を要したことが、職人の出勤簿である出面板により知られる。再建にあたって後桜町天皇から黄金を下賜、「黄金閣」と称されています。三間三戸の二重門で、上層には釈迦如来や十六羅漢を安置。細部に至るまで本格的な唐様(禅宗様)になる山門として丹後地方最大のもの。

■多宝塔[重文] 室町時代のものとして丹後地方唯一の遺構。1500(明応9)、丹後国守護代で府中城主延永修理進春信によって建立。上重連子窓(れんじまど)の裏板や来迎壁の背面、上重の柱(八角形)に記された墨書きにより知られます。 下重には来迎柱が立ち、前方に須弥壇をつくって中央に大日如来が安置されている。

■鉄湯船[重文]  1290(正応3)の作。現在は手水鉢として使用されていますが、もとは寺院の大湯屋で寺僧の施浴に用いる湯船として制作されたもの。制作に当たった大工山河貞清は、鎌倉後期に活躍した河内国(大阪府)の鋳物師と考えられています。

■石仏[市指定] 雪舟の「天橋立図」にも描かれています。いずれも等身で、左手宝珠を捧げ、右手は失われていますが、錫杖を持つ形から地蔵菩薩像と知られます。南の一体は、最も保存のよいもので、また作風的にも優れたものです。背に刻まれた銘文に、1427(応永34)に三重郷(中郡大宮町)の大江永松が発願して造立した一千体の地蔵のうちの一体とありますが、他の像は知られていません。

■本堂 雪舟筆の国宝「天橋立図」には天橋立南端の本寺も描かれ、現存する多宝塔のほかに、裳階(もこし)宝形造(ほうぎょうづくり)とおもわれる建物が描かれています。現在の 文殊堂は裳階付ではありませんが、屋根は宝形造であり、桁行柱間は裳階と同じ五間です。この建物が現在の文殊堂と同じものであるかどうかの確証はありませんが、内陣の四天柱には十三世紀初めに遡るものがあり、その形姿は中世のたたずまいを継承していると思われます。文殊堂が現状のように改められたのは、1655(明暦元)から始められた、宮津藩主京極高国による修理によるもの。現在は銅版葺ですが、宝珠の銘文によって1657(明暦3)に屋根の葺き替えが行われたことが、今回の修理で判明。旧状は檜皮葺であったとみられます。

◆秘仏・文殊菩薩 脇侍善財童子・優でん王像[重文]  智恩寺の本尊像で獅子に乗る文殊菩薩を中心に、獅子を曳く優でん王と、文殊を象徴する経箱を捧げ持つ善財童子の、三尊形式であらわせられています。 この姿は文殊がインドから中国へ旅したという姿をイメージしています。衣に牡丹唐草、雷文繋、鳳凰丸文、蓮華唐草などの細かい盛り上げ彩色の文様を施していることや、文殊菩薩の高く結い上げた宝髻、張りと柔軟さを感じさせる肉身の表現などに鎌倉後期の特色が現れています。両肩を覆う衣をまとい、如意を持つ文殊の姿は、密教の文殊菩薩と異なるもので、禅宗とともにもたらされた新様と考えられます。

■鐘楼門(暁雲閣)1722(享保7)、二人の子女を相次いで亡くした宮津の商家木村正英によって建立。二人の法名から「暁雲閣」と呼ばれている。

■庫裏 寛政11年再建、東西15メートル、南北20メートル、棟高10メートル。丹後地方では数少ない本格的な禅宗様庫裡建築であり、この地方では最大の規模のものです。

方丈 天保12年再建、東西24メートル、南北16メートル。屋根小屋組は天橋立の松材を使用したと伝えられ、軸部および内装はすべて節無しの総檜作りです。標準的禅宗方丈様式の建物で、丹後地方では最大級です。

智恩寺ホームページより

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