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【当麻寺】《高野山真言宗・浄土宗》中之坊℡0745-48-2001

 当麻氏の氏寺として、681(天武(てんむ)天皇10)年に当麻真人国見(たいまのまひとくにみ)によって創建。寺域から白鳳時代の瓦、?仏(せんぶつ)押出仏(おしだしぶつ)が発見され、また、本尊(ほんぞん)弥勒仏(みろくぶつ)像、四天王像、石灯籠、梵鐘(ぼんしょう)が白鳳創立期の文化をいまに伝えている。奈良時代には東西両塔が順次建立され、763(天平宝字(てんぴょうほうじ)7)年頃には、本堂に当麻曼荼羅の巨幅が納められて、さらに寺観が整えられた。1180(治承(じしょう)4)年平家の南都攻略の際に、創建の金堂と講堂を失ったが、再建され、鎌倉時代には法然門下の証空(しょうくう)をはじめとする浄土教の人々が当麻曼荼羅に熱心な信仰を向けた。現在では真言・浄土の2宗が並立になっており、本堂の管理は、塔頭4ヶ寺をもって輪番で管理しているという。

本堂 中之坊 陀羅尼助案内

金堂[重文] 1184(寿永3)年の再建。奈良時代創建時の規模・形式を踏襲したものと思われる。堂内に弥勒仏や四天王像などを安置。堂前に天平時代の石◆燈籠[重文]、日本最古のものという。

弥勒仏坐像[国宝] 草創時の本尊と考えられる。漆の上に金箔を張った如来形の塑像(そぞう)。かなり後補があるとはいえ白鳳末期の作。わが国最古の塑像。

四天王立像[重文] 鎌倉時代の寄木造(よせぎづくり)多聞天(たもんてん)を除いた3体は白鳳時代の脱活乾漆(だつかつかんしつ)像。寺伝に百済(くだら)から将来したと伝えるようにいずれも髭をたくわえた異国的風貌が珍しい。法隆寺金堂の四天王につぐ時代の作例と思われる。

講堂[重文] 1180(治承4)年の兵火で焼失したが1303(乾元2)年に再建。金堂よりも簡素な構造。

阿弥陀如来坐像[重文] 講堂の本尊。藤原末期の典型的な丈六(じょうろく)像。

紅玻璃弥陀坐像[重文] 密教では、五仏を5色で分け、西方の阿弥陀は身体・衣すべて赤色で描く。画像にはあるが彫刻では珍しい。藤原時代の作。

妙幢(みょうどう)菩薩立像[重文] 妙幢菩薩とは地蔵菩薩の別名。一木造(いちぼくづくり)らしい重力感と翻波(はんぱ)式の名残がある衣文から貞観期から藤原時代へ移行する時期の作とされる。

本堂(曼荼羅堂(まんだらどう))[国宝] 有名な中将姫(ちゅうじょうひめ)の曼荼羅図を祭る正面七間、側面六間、寄棟造(よせむねづくり)、本瓦葺の大堂。1184(寿永3)年までに2回の増改築がなされたため複雑な内部構造をもつ。堂内には曼荼羅のほか中将姫像や阿弥陀如来像、十一面観音像を安置する。

当麻曼荼羅[国宝] 観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)に説く西方浄土を描く。中将姫が蓮糸を染めて織り上げたという伝説で有名な根本曼荼羅は実際には蓮ではなく絹の綴織(つづれおり)といわれる。天平時代の作。現在本堂に実際にかかっているのは2回目に転写された室町時代に文亀(ぶんき)曼荼羅。

曼荼羅厨子[国宝] 曼荼羅を納めるために扁平な六角形をした漆塗厨子。天平時代の作だが、鎌倉時代に大修理された。正面扉には蓮や散蓮華をあしらった蒔絵のほか結縁者(けちえんしゃ)2,000余名の名が列記されている。厨子を置く須弥壇も華麗。

十一面観音像[重文] 外陣の小室にある。中将姫のために蓮糸曼荼羅を織った織女が観音の化身だったといわれ、一名織殿(おりどの)観音という。藤原時代の作。

東塔・西塔[国宝] 奈良時代の伽藍配置にならって金堂の南に2基塔婆が相対する三重塔。東塔は天平時代の造営で、西塔は東塔より遅く天平末から貞観時代に建立。

◆梵鐘[国宝] 仁王門を入って最初に見る鐘楼の鐘。天平時代の作で、京都妙心寺の梵鐘と並ぶ日本でも古い鐘。

【中之坊(当麻寺塔頭)】 
 当麻寺最古の塔頭。中将姫剃髪の場所と伝える本堂と書院[重文]。書院の東部分は切妻、西は入母屋造の?葺屋根を乗せた江戸時代の住宅建築。内部は後西天皇が休息した御幸ノ間を始め5室あり、曽我二直庵(そがにちょくあん)筆の襖絵で飾られている。特に女人の信仰を集める「導き観音」さまを本尊としている。また春のぼたんは特に有名。

◆中之坊庭園[名勝・史跡] ※片桐石州(かたぎりせきしゅう)好みの観賞回遊式庭園。東塔を借景とし心字池を中心とした桃山期の名園で、古くから大和三名園に数えられ。極端に低い土塀が珍しい。

※片桐石州 小泉藩一万石の藩主。父貞隆は片桐且元(かたぎりかつもと)の弟。慈光院を創建。

【奥院(当麻寺塔頭)】
 当麻曼荼羅信仰の発展が必然的に浄土教団の進出をよび、1370(応安3)年、京都知恩院から法然上人坐像を本尊に迎えて御影堂として建立された浄土宗寺院。

◆倶利伽羅竜蒔絵経箱(くりからりゅうまきえきょうばこ)[国宝] 縦約31cm、横約19cm、蓋に甲盛(こうもり)、側面に胴張(どうばり)をつけた黒漆塗の箱で藤原時代の優雅さを備えている。

法然上人行状絵巻(ほうねんしょうにんぎょうじょうえまき)[重文] 知恩院本と同じで法然上人の一代記を絵巻物にした。48巻、長さ500mを越す大作で、絵は土佐吉光、詞書(ことばがき)は伏見・後伏見天皇などの筆。鎌倉時代の風俗を知る上で貴重。

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