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【聖林寺】《真言宗室生寺派》℡0744-43-0005
712年(和銅5)に多武峰妙楽寺(現在の談山神社)の別院として藤原鎌足の長子・定慧が創建したと伝わる。妙楽寺の後身である談山神社ははるか南方の山中に位置する。聖林寺の近世までの歴史は不明の部分が多いが、江戸時代には性亮玄心が三輪山平等寺の遍照院を移して再興したという。
山門 | 境内 | 三輪山を臨む |
◆十一面観音立像[国宝] 明治の神仏分離令の時、大神神社の大御輪寺から移された。廃仏毀釈の嵐が吹き荒れるが、既に幕末はその前触れがあったのであろう。十一面観音はじめの三体の仏像は慶応四年五月十六日、大八車で三輪からこの地に避難されたという。高さ210cm、右手を垂れ、左手に水瓶をもって直立し、その姿は気高く威厳がある。乾漆造のため衣文の表現も流麗で美しく、天平時代の代表作。
◆子安延命地蔵 聖林寺の本尊。江戸時代作の石造彩色像。子安延命地蔵尊と称され、子授けの地蔵として親しまれている。寺伝では、享保の頃、この寺の僧・文春が女人泰産を願って一念発起、大石仏造像の願をかけて諸国行脚の旅に発ち4年7ケ月に及ぶ托鉢による浄財で造像されたという。
◇フェノロサと聖林寺 聖林寺に移った観音様は明治20年、アメリカの哲学者フェノロサによって秘仏の禁が解かれ、人々の前のその美しい姿を初めて現した。この時、フェノロサの驚き尋常でなく、門前から大和盆地を指して、この界隈にどれ程の素封家がいるか知らないが、この仏さま一体にとうてい及ぶものではないと述べたと伝えられている。今に残る本堂脇の厨子は、その際フェノロサらが寄進したものであり、文化財保護施設の魁とも言うべき工夫がなされている。
◇国宝十一面観音 法華寺・室生寺・聖林寺(奈良)、六波羅蜜寺・観音寺(京都)、道明寺(大阪)、向源寺(滋賀)
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