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()山寺(ざんじ)《円浄宗大本山(天台宗の一派)》075-231-0355

 正しくは盧山天台講寺といい、四宗兼学であったが、今は天台宗の一派、円浄宗の本山。寺伝によれば、938(天慶3)元三(がんさん)大師良源が北山に一宇を創建したのが起こりと伝える。その後、船岡山の南に移り天台教学の一大拠点として多数の学僧を擁する寺院となり、「洛中の叡山」とまでいわれた。応仁の乱で焼亡し、1585(天正13)現在の地に移った。現在の堂宇は天明の大火後の再建で、紫式部の邸宅跡と伝わる。明治維新までは御黒戸四箇院と云って、宮中の仏事を司る寺院が四ヶ寺あり、その中の一つ。けれども、廃仏毀釈により宮中より天台宗にお預けになったが、明治天皇の勅命により、当山のみが復興され、現在は天台圓淨宗として今日に至っている。

元三(がんざん)大師良源(912985) 18代天台座主(ざす)で延暦寺中興の祖。正月3日に没したため元三大師と呼ばれる。豆大師、角大師と呼ばれる大師の御影の護符は魔除けの札として信仰されている。おみくじの元祖といわれる。比叡山横川の元三大師堂では、本格的な『おみくじ』を引いてもらえる。僧侶に悩みを打明け、僧侶の読経の後、僧侶が『おみくじ』を引く。時間が必要で観光参拝ではない。

□紫式部と盧山寺 帚木(ははきぎ)の段」に出てくる「平安京東郊の中河の地」とは現在の盧山寺境内を指し、それは紫式部の曽祖父、権中納言藤原兼輔(堤中納言)が建てた邸宅であり、この邸宅で育ち、結婚生活を送り、一人娘の賢子(かたいこ)を産み、1031(長元4)59歳ほどで死去?紫式部は藤原香子()と呼び、「源氏物語」「紫式部日記」などは、ほとんどこの地で執筆。この遺跡は考古学者角田(つのだ)(ぶん)(えい)博士によって考証されたもの。そして昭和40年、境内に紫式部邸宅跡を記念する顕彰碑を建立。 また「源氏物語」中の花散里(はなちるさと)の巻にでてくる屋敷はこの辺り。 

山門 玄関 源氏の庭
大弐三位歌碑 境内墓地の御土居 境内墓地の仏師・定朝墓

■本堂(御仏殿)・尊牌殿(御黒戸 1794(寛政6)光格天皇の勅命で仙洞御所の一部を移建したものと伝える。本堂には本尊阿弥陀三尊像および「(ふな)来迎(らいごう)観音」とよばれる聖観音像を安置し、尊牌殿には光格天皇・新清和門院の位牌を安置する。

◆阿弥陀如来及両脇侍坐像[重文] 13世紀初めの製作。来迎阿弥陀像と称される。両菩薩は膝を揃えた坐り方で,衣が後方に強くなびく様子を表すことで,来迎のスピード感を強調している。また勢至菩薩は元来,両手で往生者に差し掛ける天蓋を執っていたとみられ,彫像では珍しい図像である。

■源氏の庭 昭和40年の作庭。本堂の前に白砂を敷き、絵巻物の雲をかたどって苔を洲浜形に置き、苔の上に紫式部の紫に因んで桔梗(ききょう)を植えている。庭の中央の苔の中に「紫式部邸宅跡」と刻んだ銘石を置く。源氏物語に出てくる朝顔の花は今の桔梗。 

■大師堂 1835(天保6)の再建。元三大師像を本尊とし、左右に不動明王・金山(きんざん)毘沙門天・薬師如来各像を安置する。毎月3日に護摩を行っており、自由に参加できる。

■地蔵堂 明智光秀の持仏であった地蔵菩薩などを祀る。元亀2年の信長の比叡山焼打ちの際、信長に仕える明智光秀に正親町(おおぎまち)天皇が廬山寺を焼打ちしないようにとの女房奉書(女消息体で書いた文書)を下さり、焼打ちをのがれる。この縁で光秀の念持仏が奉納される。

■境内墓地 慶光天皇盧山寺陵をはじめ、皇室関係の陵墓が多く、秀吉の築いたお土居跡が残る。

■御土居 豊臣秀吉が京都の都市改造の一環として外敵の来襲に備える防塁と、鴨川の氾濫から市街を守る堤防として、1591(天正19)に築いた土塁。 全長225kmで、土塁の内側を洛中、外側を洛外と呼び、要所には七口を設け、洛外との出入口としました。鞍馬口、丹波口などの地名はその名残。現在9箇所が史跡。

□鬼の法楽 毎年節分の日に悪疫退散を祈って行われる追儺式(ついなしき)。村上天皇(946~967)のころに元三大師が宮中で300日間の護摩を修した時、出現した悪鬼を退散させた故事にならう行事で、大正末期頃に創始された。太鼓と法螺貝の音を合図に松明と宝剣を持った赤鬼、大斧を持った青鬼、大槌を持った黒鬼が大師堂前の特設舞台に出現し、足拍子をとりながら、堂内に入ります。堂内では厄除け開運、福寿増長の護摩供の修法が執り行われており、そのまわりを三鬼が踊りながら修法の妨げをするのですが、護摩供の秘法、追儺師の邪気払いの法弓、そして蓬莱師、福娘によって撒かれる蓬莱豆及び福餅の威力に追われて鬼は門外へ逃げ去るのです。また、当日は秘佛である、元三大師が鬼を退治したと云われる『独鈷・三鈷』ならびに、大師が宮中で使用したと伝わる『降魔面』が当日に限り特別開帳されます。

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