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【鹿王院】《単立・臨済宗》075-861-1645

 1379(康暦元)年、足利義満が普明国師(ふみょうこくし)春屋妙葩(しゅんおくみょうは)を開山に宝幢寺(ほうどうじ)を建立、京都五山十刹の十刹第五に位置づけた。その時、普明国師は、自ら塔所を宝幢寺内に建て、これを「鹿王院」と称した。この土地を開いたとき野鹿が群れをなして現れたのでこの名がある。応仁の乱で荒廃し宝幢寺のほうは衰え、鹿王院だけが残った。慶長の大地震(1614)で伽藍は倒壊したが、寛文年間(1660年代)酒井忠知の子・虎岑(こしん)和尚のとき堂宇を修理再興して今日に至る。

■総門 ()脚門(きゃくもん)で、唯一(ゆいいつ)の創建(南北朝)時の建物。「覚雄山」の三字額は開基・足利義満(23)の自筆。「覚雄」とは“悟りにいたりし威大力の英雄”の意で“釈迦=仏陀”をいう。山門から中門までは、天台烏薬(うやく)などの銘木が繁る。一休和尚も少年の頃この山門をくぐって、ここで維摩経(ゆいまきょう)の提唱を聴いたという。

■庫裏 1660年代(寛文年間)の再建。玄関正面に韋駄天(いだてん)を安置する。韋駄天とは、バラモン教の軍神で仏教に取り入れられ、伽藍(がらん)の守護神となる。仏舎利(ぶっしゃり)を盗んだ鬼神を追いかけて取り戻したという俗説から、俊足(しゅんそく)の代名詞となる。

■本堂 1676(延宝4)年の再建。開山堂と仏殿を兼ねる。内部には本尊・釈迦如来像および普明国師(ふみょうこくし)・足利義満の像を安置し、堂下には国師の墓がある。

■客殿 1890(明治23)年の再建。「鹿王院」の三字額は山門の額と同じく足利義満の自筆。「印」に「天山」とあるのは義満の道号。

◆客殿前庭 江戸時代の作庭。平庭式の枯山水庭園で、杉苔に覆われた中に三尊仏の石組を中心として20数個の石組を配し、嵐山を借景にして浄土世界の様相をあらわそうとしている。周りには、樹齢400年を超えるモッコクをはじめ、クロモチ、カゴノキなどの古木が植わる。これらの木々は、江戸時代の「拾遺(しゅうい)(みやこ)名所(めいしょ)図会(ずえ)」にも描かれており、年輪を重ねるごとに、庭園に力強さを加える。庭の南側にある沙羅(さら)双樹(そうじゅ)は、6月下旬に見ごろを迎える。

■舎利殿 内部は内陣・外陣に分かれ、内陣には、源実朝(みなもとのさねとも)が中国・宋より将来したという仏舎利、荼毘(だび)に付した釈迦の体から残った歯「仏牙舎利(ぶつげしゃり)」を納めた多宝塔(たほうとう)を安置する。この仏牙舎利(ぶつげしゃり)は毎年1015日に一般公開される。舎利殿の前には、室町時代から伝わる「三尊石組」があり、釈迦三尊を表現する。

■茶室(芥室(かいしつ)) 俳優・大河内伝次郎が昭和6年に寄進。「軸」は、後小松天皇による三条室町の地を鹿王院領とすることの宸翰(しんかん)である。

普明国師(ふみょうこくし)春屋妙葩(しゅんおくみょうは) 室町時代の臨済宗の禅僧。室町幕府の帰依を得て臨済宗相国寺の第二世となるが事実上の開山国師。五山文化の発展に寄与した。ほかに天龍寺や臨川寺の住職となる。春屋は道号、別号に芥室、不軽子など。諡号は知覚普明国師。

甲斐国(山梨県)の生まれ。母方の叔父である夢窓疎石のもとで受戒すると天龍寺の住職となり、室町幕府に対して五山第一の南禅寺の楼門(山門)新築を提言。幕府は楼門建設の援助をしたが南禅寺と紛争状態であった園城寺がこれに抗議。比叡山の門徒もこれに加わり楼門撤去や妙葩の配流を求め、紛争は政治問題にまで発展する。

1369年に管領の細川頼之(よりゆき)は楼門を撤去させる。妙葩は頼之と対立して天龍寺住職を辞して阿波国光勝院、さらに丹後国雲門寺に隠棲する。頼之は妙葩との和解のために会談を求めるがこれを拒絶。対して頼之は門徒の僧籍剥奪を行う。

1379年『康暦の政変』で頼之が失脚した後に入京し、南禅寺住職として復帰。

3代将軍足利義満の帰依を受け、初代の僧録となる。同年、義満の要請により全国の禅寺を統括。その後、嵯峨宝幢寺を開山。さらに義満は相国寺を創建すると妙葩に開山第一世を請じたが、妙葩はこれを固辞。やむなく師の夢窓疎石を開山始祖とし、妙葩は第二世住持となった。実質的には妙葩が相国寺を開き、五山十刹制度を作り五山派を興した。五山版の刊行なども行い五山文化の発展に寄与した。また多くの弟子を育て、彼らは日明貿易を行う際に幕府の外交顧問となった。

ウィキペディアより

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