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【蟹満寺】《真言宗智山派》0774-86-2577

 綺田(かばた)の地にあり、加波多寺(かばたじ)が転じて蟹満多(かにまた)寺などに変化したものとされる。創建については不明な点が多く、一説に秦氏(はたし)の氏寺ともいうが、この周辺に居住していた渡来人が関係していたと推定されている。近年の発掘の成果により、寺は七世紀の末期に創建されたことが判明された。※蟹満寺縁起と銅造の釈迦如来で有名。東隣に養蚕機織の守護、綺原神社がある。

本堂 釈迦如来坐像 地蔵尊

本堂および諸堂 現在の境内は1759年(宝暦9)再建の本堂と観音堂・書院・庫裏等があるだけで意外に小さい。

◆釈迦如来坐像[国宝] 本堂に安置。銅造、高さ2.4メートル。薬師寺の薬師三尊像と並ぶ優作とされる。製作は薬師寺本尊の前後と考えられ、白鳳後期か天平初期で争われ、安置場所が当初からこの寺であったか議論が分かれている。しかし、近年の発掘調査により、この像は創建以来その位置を変えていない可能性が指摘されている。また、鋳造技術は興福寺の仏頭(旧山田寺像)よりは進歩し、薬師寺の薬師三尊像よりは幼いとされるものの、薬師寺像の水準に近い技術をもつといわれる。大きな頭に対し胴が引き締まる。螺髪(らほつ)白毫(びゃくごう)を欠くが、眉や唇、手などの表現も見事である。施無畏(せむい)与願印(よがんいん)結跏趺坐(けっかふざ)しており、薬師寺の薬師如来像と同様の姿である。

(しょう)観音(かんのん)菩薩坐像[平安] 観音堂に安置する当寺の旧本尊で、蟹の身代わりとなって危難を救ったという霊験談に因んで、現在も厄除けや災難除けの信仰があつい。像の高さは31.7センチ、一木造、頭部に宝相華唐草模様の透かし彫りの宝冠をいただき、手には花宝相華を如意型に仕立てたものをもち、結跏趺坐する。胴以下は室町時代の後補である。一に「身代わり観音」とよばれている。

※蟹満寺縁起 蟹満寺観音堂に安置されている聖観音にまつわる霊験記で、『今昔物語』などによると信心深い娘が蟹を助けた数日後、娘の父が蛇に食べられそうになった蛙を助けようと蛇に娘を嫁にやると約束、三日後、娘をもらいに来た蛇に対して大小無数の蟹が戦い、あとに蛇と蟹のなきがらが満ち満ちていたという。そこで蛇と蟹の菩提を弔って聖観音を祀ったのが起こりといわれている。

資料 昭和京都都名所図会 竹村俊則著より

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