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神光院(じんこういん)《真言宗醍醐寺派》075-491-4375

 もともと、上賀茂神社の境内にあったが、鎌倉初期の(けん)(ぽう)5年(1217)社務・松下能久が一夜本宮に参籠(さんろう)したとき、霊光(れいこう)があって、その写ったところに一宇を建立すべしとの神託(しんたく)をうけ、堂宇(どうう)をこの地に建てたのが起りとつたえる。その後、醍醐三宝院の兼帯所となり、明治維新後には一時廃寺となっていたが、近年再興されるにいたった。本堂に安置する本尊・弘法大師像は、大師42歳の像といわれ、世に厄除(やくよけ)大師として崇敬されている。京都三弘法の一つ、他に東寺・仁和寺。

蓮月尼(れんげつに)旧栖茶所 江戸後期の陶芸歌人・太田垣蓮月尼が晩年を過ごした(いおり)。蓮月は寛政3年(1791)の生まれ、名を誠(のぶ)といい、知恩院の(てら)(さむらい)・太田垣氏の養女。結婚後、33歳迄に夫とは二度も死別、四人の実子も前後して亡くなる。葬儀後、剃髪(ていはつ)して尼となり陶芸と歌や書に親しんだ。製作した陶器に自詠の歌を彫り、名声を博す。そして得た財は惜しげもなく飢饉救済や橋建設等に寄付し、明治8年「願わくはのちの(はちす)の花の()に曇らぬ月を見るよしもがな」と辞世の歌をよんで85歳の生涯をとじた。蓮月が60才の頃、侍童として預かったのが後の富岡(とみおか)(てっ)(さい)、数年共に暮らし、鉄斎は蓮月の薫陶(くんとう)を受け、明治、大正の著名な南画家となる。蓮月は遺言で「無用の者が消えゆくのみ、他を煩わすな、富岡だけに知らせてほしい」と頼んだという。

資料 昭和京都都名所図会 竹村俊則著より

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