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【御香宮神社(ごこうのみや)】《神功皇后》Tel075-611-0559

  社伝によれば、はじめ御諸(みもろ)神社と称したが、貞観4(862)境内に清泉が湧き出し、病者はこれを服用すれば病気はたちまち治るといわれたことから、御香宮(ごこうのみや)と称したと伝える。中世は社地が長講堂領の中にあったので、伏見宮家の庇護をうけ、また産土神(うぶすながみ)として大いに崇敬をあつめた。しかし、秀吉が伏見城築城に際し、城内の大亀谷に社殿を移して城の鬼門除けの守護神とした。徳川家康は慶長10(1605)大亀谷より現在地に移し、あらたに社殿を造営した。慶応4(1868)1月、鳥羽伏見の戦いには、この地が薩摩藩の屯所となり、大手筋をへだてて南の伏見奉行所の幕軍と対峙した。

御香宮神社表門 拝殿 本殿
絵馬堂 枯山水庭園 能舞台

表門[重文・桃山] 元和8(1622)徳川頼房(水戸藩祖)が寄進した旧伏見城の大手門とつたえる薬医門(やくいもん)で、正面四個の蟇股(かえるまた)には、中国の故事に因んだ彫刻がある。また、棟の両端に「しゃち」をのせているのは珍しい。

拝殿[府指・桃山] 寛永2(1625)徳川頼宣(よりのぶ)(紀伊藩祖)が石鳥居とともに寄進したとつたえる。中央の一間をひらいて通路とする割拝殿で、正面の唐破風下には太閤桐をあらわした蟇股があり、軒廻りの蟇股にもさまざまな花鳥を彫刻する。

本殿[重文・桃山] 慶長10(1605)徳川家康の再建と伝える。五間社流造、檜皮葺、蟇股には雲竜・獅子・竹に虎などの彩色をした豪華な彫刻がある。祭神は、中央に神功・仲哀・応神の三神を祀り、東ノ間に滝祭神・宇倍大神(武内宿禰)・河上大神の三神、西ノ間に若宮・高良大神・白菊大神(地主神)の三神を祀る。

御香水 地下150メートルからポンプで水を汲み上げ、本殿前の手水鉢に流出するようになっている。社名の起こりの井泉は早く埋没したため、昭和57年新しく掘削した井戸であるが、「日本名水百選」の一つに指定されている。

庭園 社務所内の枯山水庭園で、社伝によれば小堀遠州が初代伏見奉行のとき、所内につくった庭園の庭石を移し、昭和36年造園家中根金作氏によって作庭。

絵馬舎 絵馬は百数十を数え、元禄・享保以前のものも少なくない。中でも正保3(1646)奉納の猿曳きの絵馬は、左甚五郎(ひだりじんごろう)作といわれる。また、和算の大家、西岡天極斎奉納の算額は、貴重な資料とされる。

□神幸祭 「伏見祭」ともいい、1010日に行われる、古来洛南屈指の大祭として名高い。「花笠祭」とも称し、氏子の人達によって趣向を凝らした風流笠や囃子がある。

参考資料 昭和京都都名所図会 竹村俊則著ほか

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