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白毫寺(びゃくごうじ)《真言律宗》0742-26-3392

 708715(和銅年間)志貴皇子(しきのみこ)の山荘があった所と伝え、また、弘法大師の師・(ごん)(そう)僧都(そうず)が創建した(いわ)淵寺(ぶちでら)の一院ともいう。鎌倉時代に西大寺の叡尊が中興し、庶民の信仰も盛んであったが、今は本堂、御影堂と新築の収蔵庫を残すのみ。春には五色(ごしき)椿(つばき)(※奈良三名椿の一つ)、秋には萩。奈良市街の眺望がよい。
※奈良三名椿→白毫寺(五色椿)・東大寺開山堂(糊こぼし)・伝香寺(散り椿)

百毫寺参道 本堂 五色椿

本堂(奈良市指定文化財) 

(えん)魔王(まおう)坐像[重文] 収蔵庫に安置。もと閻魔堂の本尊。鎌倉時代の寄木造(よせぎづくり)、彩色の像。冥府(めいふ)を司る閻魔王を迫力のある彫法で表し、その眷属(けんぞく)である太山王(たいさんおう)司録(しろく)司命(しみょう)の諸像と一具になっている。後世の補正が多いが、康円(こうえん)の作として有名。

※康円→大仏師運慶(うんけい)の孫にあたり、鎌倉中期を代表する仏師。太山王坐像の胎内(たいない)に、1259(正元元)年康円作の銘がある。

阿弥陀如来坐像[重文]  白毫寺の本尊。檜材の寄木造で、平安時代末期から鎌倉時代頃の作といわれる。

◆菩薩坐像[重文] もと多宝塔の本尊とされる白毫寺最古の仏像で、高く結った髻の形、両脚部の量感のある表現や荒々しい衣文表現などには平安初期彫刻の特徴をよく伝えており、9世紀にさかのぼる作とみられる。なお、多宝塔(現存せず)は室町時代の建物で、それ以前の伝来は不明であり、本来の像名も不明である(寺伝では文殊菩薩)。右手は第23指を立て、左手は持物をとる形をするが、両手首から先は後補で、本来の印相は不明である。

◆木造地蔵菩薩立像[重文] 鎌倉時代後期に造られた地蔵菩薩像の秀作で、施された彩色も鮮やかに残っている。

◆木造興正菩薩坐像[重文] 白毫寺を中興した興正菩薩・叡尊の肖像彫刻で、西大寺愛染堂の叡尊像と似ており、叡尊晩年の姿を見事にとらえている。

◆木造太山王坐像[重文] 閻魔王とともに冥界の十王の一人。鎌倉時代の像で、体内に残された墨書により運慶の孫・康円が正元元年(1259年)の作と判明する。明応6年(1497年)に修理を受けていることが像内修理銘から判明。

◆木造司命半跏像・司録半跏像[重文] ともに閻魔王の眷属で、康円一派の作である。閻魔王像、太山王像とともに、旧閻魔堂に安置されていた。

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